キリル文字だらけのインスタグラム

今年の誕生日は仕事の休みを取ってウクライナに旅行することにした。

無類のサッカー好きの友人Tと二人で、チャンピオンズリーグ決勝を観戦するためだ。

とりあえず上司に休みの許可を得なければならない。

 

ウクライナで観たいサッカーの試合があるので有給取ってもいいですか?」

「おー!いいぞ、いいぞ。ただ南米は危ないから気をつけるんだぞ。」

 

良かった。ちゃんと休み貰えた。あと上司の頭に浮かんでいるのは

たぶんベネズエラのことだろう。

 

ウクライナは東ヨーロッパに位置している。

ただ、ウクライナも危険というイメージはあながち間違いではない。

2014年に起きたウクライナ危機やクリミア併合。

実にこの国は紛争のど真ん中で、外務省が出す渡航危険レベルも1〜2という状況。

それでもウクライナに行こうと決断したのは、サッカーの試合が観たかったのも

勿論だが、それ以上に昔からウクライナは「行ってみたい国」だったからだ。

 

どうやら僕は境界線フェチなのかもしれない。

わかりやすい例で言えば国境。その実態のない線を超えただけで景色も言葉も

人々の生活も変わってしまうあの不思議な感覚が好きなのである。

県境も好きだし、テリトリー同士が重なり合うところが何故か好き。

特に川と海がぶつかり合う河口が大好きで、小学生の夏休みは一人で川沿いを

下って「どこから海に変わるのか」その境い目を調べてた。

 

それとウクライナの何が関係あるのか?というと

ウクライナはヨーロッパとロシアの境界線にあたる。

歴史を振り返っても長らくポーランド王国の影響下にあったため、

建築物は西ヨーロッパの影響を色濃く受けている一方で、

旧ソ連時代の名残で無機質で合理主義的なアパートが立ち並ぶ。

 

そんな文化の境界線だからこそ僕のフェチにドンピシャ。

ただそれが今なお出口のない紛争地帯になってしまう理由でもある。

 

さて、そんなウクライナの首都、キエフに来てみると

空港に美女。聖堂に美女。ボルシチ屋に美女。

次から次へと雪も欺く美女がマトリョーシカのように現れる。

「平均レベルが滝沢カレンだな!」 

なんて感想が口から出たが、事実滝沢カレンウクライナハーフらしい。

 

 

ソフィア大聖堂、澄み切った青空を背に緑のモスクが映える。

その大聖堂の入り口、何故か僕と友人Tは美女集団に囲まれていた。

 

「私たち日本大好きなんです!!」

「私たちとインスタで友達になって下さい!!」

 

なにやら日本好きのウクライナ人女性15名ほどの団体に遭遇した。

モデル級の美女にワーキャー言われる経験なんて人生でもう二度と無いはず。

だから記念に写真を撮った。すごく喜んでくれたので調子に乗って

肩をギュッと寄せて写真を撮ったりもした。インスタも全員と友達になった。

 

「お姉さん達、みんな綺麗だね。歳はいくつなの?」

柄にもなくイタリア人みたいな質問をする。

 

「14歳です!私たちクラスメートで修学旅行なんです!!」

 

ウクライナ。西欧とソ連の境界線。

大人と子供の境界線もメチャクチャな国だった。