スモーキンブギ

 

土曜日の夜。

のんびりカフェで過ごすことが最近のマイブームになっている。

家から少し離れたコメダ珈琲で読書でもしながら思考を巡らす作業は自分にとってのビタミンになる。

ユーミン風に言うならば「土曜の夜は、コメダに来るの」って具合だろうか。

あまりオススメはしないが、タバコは吸わないけれど敢えて喫煙席で読書することも多い。

 

読書に疲れると、徐ろにスマホを取り出しマッチングアプリを開く。案の定女の子からいいねは届いていない。

 

「石川県って人少ないし可愛い子いないな」

「そもそも男が月額数千円で女性は無料ってのもおかしいだろ」

 

自分の非モテ具合を地理と運営のせいにしてしまうおぞましさはきっと副流煙の副作用だろう。

 

土曜日の夜。

その日はコメダ珈琲ではなく相席居酒屋とやらに足を運んでみた。

男性が時間に応じた金額を支払い、女性が無料のシステムだ。

僕が案内された席の前には露出度高めの弱冠20歳の女の子がタバコを咥えて待っていた。

こういう子でも出会いを求めているのだろうか。

「はぁ?彼氏?いるに決まってるじゃん。アタシはここにタダでメシ食いに来てるだけだっての」

 

煙まじりの捨て台詞が目に染みる。

女性無料ルールは「百害あって一利なし」で間違いない。

 

土曜日の夜。

そろそろカフェに行きたいなと思っていたのに、先輩に連れられてキャバクラに行った。

「あ、タバコ吸います?」とライターを懐から取り出した気が効く女の子、Nちゃんと共通の趣味で盛り上がり、連絡先を交換した。

 

翌日の昼、僕とNちゃんは焼肉屋にいた。

Nちゃんは凄く性格が良く、

僕とまた会いたいし、その時のためにダイエット頑張ってオシャレな服を買いに行きたいと言ってくれた。

ただ、何故だろう。

昼の明るさで見たキャバ嬢はあんまり可愛くなかった。

 

申し訳なさから焼肉代は全部こちらで負担した。

 

土曜日の夜。

同じ会社の事務所で仕事をしている

50台マダムに誘われて嫌々二人で焼肉に行った。まじでカフェに行かせてくれ。

マダムはバツイチのシングルマザー。

今でも男漁りに余念がない。

最近家に連れ込んだ男と、、など僕の母親と同世代の女性の赤裸々な性事情には思わず耳を塞ぎたくなった。

 

「ははは、、すごいですね。僕なんて出会いないんでそういうのサッパリで、、」

 

と返答したのだが、これに対してマダム。

 

「あなたさっきから出会い無い、出会い無いって愚痴ばっかいってますけどね!出会いなんて高速道路のサービスエリアの喫煙所にだってあるんですよ!!!」

 

なぜかこの時の焼肉代も全部僕が負担した。